新NISAが始まり、投資を始めたばかりの方の間で人気を集めているのが「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」です。
その人気の理由は、業界最低水準の運用コスト(信託報酬:年率0.05775%)と、世界中の株式に自動で分散投資できるという手軽さにあります。
投資初心者が長期で安定的に資産形成を行うには、これ以上ない選択肢の一つでしょう。
■ オルカンの人気はダテじゃない
オルカンは、以下のような特徴から多くの投資家に選ばれています:
- 世界中の株式に1本で投資できる
- 為替や個別企業の分析不要
- 年0.05%台という圧倒的低コスト
- リバランスも自動でやってくれる
実際、新NISA開始以降の買付金額ランキング上位は、常に「オルカン」と「S&P500(eMAXIS Slim 米国株式)」の2トップです。
■ それでも広がる“オルカン批判”の声
2024年4月頃から、SNSやYouTubeを中心に、以下のようなオルカンへのネガティブな言説を目にするようになりました:
- 「オルカンはつまらない」
- 「投資初心者がハマる罠」
- 「信者は思考停止」「情報弱者」
- 「今は日本株の方が良い」
- 「オルカンは危ない」
確かに目を引く発言ですが、少し冷静に見る必要があります。
■ なぜオルカンが“叩かれる”のか?
こうした批判の背後には、発信者側の利益構造や動機が絡んでいることも少なくありません。
① ポジショントークに注意
- 証券会社や銀行関係者 → 個別株や高コストファンドを売った方が儲かる
- 経済系メディア → スポンサー企業の金融商品を紹介して広告収入が入る
- インフルエンサーやYouTuber → 視聴回数・広告収益を狙った“炎上商法”
② 利回りが高い=正義ではない
「オルカンより利回りが高い」と主張される個別株やテーマ型ファンドもありますが、高リターン=高リスクであることは明白です。
一方、オルカンは「市場平均(世界株式)」を取りに行く商品で、そもそも“退屈でも勝てる”のが売りです。
■ 為替・暴落リスクをあおる情報にも注意
「円高になるとオルカンは大きく下がる」といった発信も増えていますが、実際には:
- オルカンが下がる=世界株安+円高の影響
- 個別株や米国株ファンドも当然下がる
- ヘッジあり商品は手数料が高くなりやすい
つまり、「オルカンだけが下がる」というのは誤解です。
■ 再確認したい“ほったらかし投資術”の原則
オルカンの思想は、山崎元氏が提唱した「平均投資有利の原則」に基づいています。
相対的な運用競争においては、アクティブ運用の平均に乗っておくことが有利。
グローバル株式の平均に近い商品を、低コストで長期保有するのがベスト。
この考え方に従えば、「オルカン1本で十分」というのは非常に合理的な判断です。
短期的な下落や批判に惑わされず、自分の投資方針を見失わないことが、長期資産形成には欠かせません。
■ まとめ:オルカン批判は“人気の証拠”でもある
オルカンを悪く言う情報の多くは、結局のところ「それでは儲からない人たち」によるものか、あるいは「不安をあおって注目を集めたいだけ」のものです。
むしろ、これほどまでに批判されるほど、オルカンは「多くの人に選ばれている良い商品」だという裏返しとも言えるのではないでしょうか。
私は今後も、自分の投資方針を見直しつつ、オルカン中心のほったらかし投資を続けていくつもりです。

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