2024年8月5日の「日銀ショック」で国内・海外の株価は大きく下落した。そして例外なく、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)の基準価額も大きく下げた。新NISAで投資を始めた個人投資家にとっては、初めての下落局面が過去最大の下げ幅というのは大きな試練になった。
ネット界隈では、「オルカンを損切りした。」や「新NISAで騙された。」などの情報も散見され、実際にオルカンについては8月7日に78億円の資金流出があった。基準価額が急激に下落し、含み損が拡大したため狼狽売りした投資家が多かった証左だろう。
数々の投資商品がある中で、オルカンに行き付いたという結論は同じであっても、やはり「何故、オルカンなのか。を理解している投資家」と、ネットのうわさ話や知人/友人の口コミに乗って「何となくオルカンを買った投資家」では、心の動揺の程度やその後の行動に大きく違いがあっても不思議ではない。
今回の下落で、私が思い出したのは「ほったらかし投資術」の以下の記述である。あたかも今回の下落相場で売る/買う/様子見に揺れる私を見透かしたような金言である。
投資とは「持っていること;株式市場に参加していること」で、相場の上げ下げに一喜一憂せずにすべて付き合って保有し続けることである。
怖くなって狼狽売りをしてしまった人や投資から撤退した人で、以下のような下落時の心持ちや対応を知っていたら狼狽売りしなかったかもしれないと思った方は、是非、“投資初心者のバイブル”として「全面改訂第3版ほったらかし投資術(朝日新書)」を読んで欲しいと思う。
- 投資は始めることが大事で、できるだけ早い時期に投資を行う仕組みを作り、始めた後は「止めない」「余計な手出しはしない」に気を付ける。
- 下落相場が怖くなって売却したり、 利益確定で売ったりすると、自分が株式を売った行為の意味に拘り、投資を続けにくくなるため、買った株式は必要が生じるまで一切売らないと決める。
- 投資は勝ち負けの結果ではなく、持っていることが投資である。
- 株価の全面暴落に直面した場合でも、今の情報は今の株価を適切に反映しているものとして、自分が保有するリスク額が適切ならばそのまま保有し続ける。
- ほったらかし投資の終わらせ時は特にないが、市場の下落で狼狽売りするのは良くない。多少の損失は覚悟の上で市場に居続けるように。
- 永遠に下げ続ける相場はなく、いずれは上がるので、長期的目線で見れば平均的なリターンに回帰していくものであり、したがってインデックスファンドの投資家は下落相場でも売らずに積み立てを続ける。
- 多くの人が「もう嫌だ」と思っている時こそが投資のチャンスである。
どうでしょうか。資産運用の書籍を多読する必要はないとは思うが、この一冊だけは読んでおくことをお薦めしたい。
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