「ほったらかし投資術」の王道とされる「長期・分散・低コスト」のキーワードを体現するインデックスファンドとして、eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称「オルカン」)が注目されています。
しかし、実は「オール・カントリーを謳う」投資商品には、運用コストや仕組みに大きな差があることをご存じでしょうか?
本記事では、オルカンと最近登場した低コスト商品、さらには「低コストではない」類似商品を比較しながら、賢い選び方について解説します。
1.新たな低コスト選択肢の登場
2024年10月1日から、オルカンよりも 信託報酬が低い SBI 全世界高配当株式ファンド(年4回決算型) が販売開始され、間もなく年1回決算型の商品も登場予定です。
これらの商品はいずれも、
- 購入手数料(税込):なし
- 信託報酬(税込):年0.055%
- 売却時手数料:なし
という低コスト設計になっています。
一方で、比較されるオルカンの現状の信託報酬は年0.05775%。わずかな差ではありますが「低コスト」と言われる基準0.1%以下の中でも優れた水準です。
2.運用コストで明暗を分ける類似商品
ただし、「オール・カントリー」の名称を使っていても、運用コストは必ずしも同じではありません。例えば、オール・カントリー好配当リバランスオープン(年4回決算型)という商品では、
- 購入手数料(税込):3.30%
- 信託報酬(税込):年0.913%
- 売却時手数料:0.25%
という設計になっており、明らかに「低コスト運用」からは外れています。
つまり、「全世界株式」「オール・カントリー」とうたわれていても、手数料・信託報酬率で内容は大きく違うことを知っておくべきです。
3.なぜ手数料・信託報酬が重要か?
運用コストは、長期投資においてリターンに与える影響が大きいです。特に「ほったらかし投資術」で推奨されるように、長期×分散で資産を築くには、コストを可能な限り低く抑えておくことが有利です。
「低コスト」と一般に言われるのは信託報酬が年0.1%以下という水準です。
よって、投資初心者の方ほど、銀行窓口や証券マンから勧められた商品を鵜呑みにせず、自分で 運用コストを確認するクセ をつけることが大切です。
4.初心者のためのチェックリスト
投資を始めるとき、特に「全世界株式ファンド」を選ぶなら以下のポイントを押さえましょう:
- 信託報酬率(年率)がどのくらいか?
- 購入手数料/解約手数料はないか?
- 決算型・配当方針が自分の目的に合っているか?
- 運用方針・ポートフォリオ(株式・地域配分など)は妥当か?
- 販売会社・運用会社の信頼性は?
これらを確認することで、ただ「オール・カントリー」という名称だけで選ばず、自分の目的・リスク許容度に合った商品を選びやすくなります。
5.まとめ:名称だけで安心しない
「オール・カントリー=安心」「全世界株式=最強」といったイメージは確かにありますが、それだけで選ぶのはリスクがあります。信託報酬や販売手数料、決算タイミングなどをきちんと比較したうえで、自分の資産運用戦略に合った商品を選びましょう。
特に投資を始めたばかりの方は、まずは【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術(朝日新書)の基本を理解し、最低限の投資リテラシーを身に付けることをおすすめします。
終わりに
資産運用は「ほったらかしでも放置ではない」ことを理解したうえで、賢くスタートを切りましょう。紹介したように、名称だけでは分からない“コストの差”を把握して、自ら納得して購入できる投資商品を選んでください。

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