「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)は、2023年7月に信託報酬率を 年率0.05775% に引き下げました。この引き下げ後、隠れコストを含めた 総経費率(実質コスト) がどうなるかは、次の運用報告書でようやく明らかになります。本稿では、その背景と予想、ほかの低コストファンドとの比較を整理します。
1.決算日と運用報告書の公表タイミング
- オルカンの決算日は 毎年4月25日 です。
- 通常、運用報告書はこれより約2か月遅れの 6月下旬 に公表されます。
- この報告書で、信託報酬以外のコスト(売買手数料、保管費用、インデックス使用料など)を含めた総経費率が開示されます。
2.信託報酬引き下げの経緯と影響
- 2023年7月、オルカンの信託報酬率は 年率0.05775% に引き下げられました。
- ただし、直近の運用報告書(2024年4月公表分)は、引き下げ前の報酬率(0.1133% 等)が一部反映された期間も含むもので、通期で0.05775%になるのは今回発表される報告書が初めて見込まれます。
- そのため、実質コスト(総経費率)がどこまで下がるかが、投資家にとって関心事です。
3.総経費率と隠れコストの考え方
- 信託報酬率だけでなく、売買委託手数料、保管・為替コスト、インデックス使用料、監査費用などの「その他費用(隠れコスト)」もファンド保有者の実質負担となります。
- 運用報告書にはこれらを含めた「総経費率」(または「実質コスト」)が記載されるため、これが真のコスト水準を表します。
4.予想・見通しと他ファンドとの比較
- 引き下げ後のオルカンの総経費率は、おそらく 0.07〜0.09%前後 に収まる可能性が高いと予想されます(あくまで仮説)。
- 参考までに、2024年の運用報告書によれば、オルカンの総経費率は 0.08% に下がったという情報もあります(信託報酬0.05775%を前提とした報告)
- ただし、他社の「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」など、より低いコスト水準を掲げるファンドも存在します。たとえばこれらは総経費率で 0.07%台 を目指しているとの情報があります。
- そのため、オルカンが最安であり続けるかどうかは、今後の報告書内容次第です。
- 昨年は、野村アセットマネジメントの「はじめてのNISA・全世界株式インデックス(オール・カントリー)」が総経費率と実質コストで最も低コストでした。(オルカンの成績は保留扱い)<参考>インデックスファンド「信託報酬」比較ランキング!
5.“乗り換え” の可否についての考察
- コスト差がわずかである場合、運用実績や純資産規模、信頼性といった点を重視して、あえて乗り換えずにオルカンを継続保有する選択肢も合理的でしょう。
- 実際、オルカンは巨額の純資産(純資産時価総額5兆円)を抱えており、安定性や流動性の面で利点があります。
- ただし、コスト差が無視できないレベルに広がるならば、乗り換えを検討する価値も生じます。
6.まとめ
引き下げ後の信託報酬率0.05775%は、インデックス投資における極めて低コストな水準です。今後公開される運用報告書で、隠れコストを含めた実質コスト(総経費率)が明らかになれば、オルカンの競争力がさらに確認できるでしょう。
その際、他の低コスト全世界株式ファンドとの比較や、継続保有か乗り換えかの判断材料として活用したいところです。

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