2025年6月現在、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称:オルカン)のベンチマークである MSCI ACWI は、ドルベースで最高値を更新しています。
円ベースの基準価額とドルベースの指数との差異には為替の影響が大きく関わっており、これを理解することで、オルカン保有者にとってのリスク・機会がより明確になります。
1.下落 → 回復の局面を振り返る
2024年8月の「日銀ショック」、そして2025年4月の「トランプショック」では、オルカンの基準価額も大きく下落しました。筆者はこの時、含み益を大きく目減りさせたものの、狼狽売りはせずにホールドし続けました。
その後、回復局面に入りつつありますが、円ベースでは2025年1月の最高値水準には戻っていません。
2.比較対象:ETFチャートと為替の影響
以下が比較対象として使った ETF とチャートの関係です:
- MUAM MAXIS World Equity (MSCI ACWI) ETF:円ベース
- iShares MSCI ACWI ETF:ドルベース


この2本のチャートをもとに見ると、
- 円ベースで見る MUAM ETF とオルカンは類似の動きを示す
- ドルベースの iShares ETF は現在、 最高値を更新中
つまり、指数そのもの(MSCI ACWI)は成長を続けており、ドルベースでは勢いが強いと捉えられます。
3.オルカンのチャートは?
以下がオルカンのチャートですが、オルカンの基準価額は円ベースのため、MUAM MAXIS World Equity (MSCI ACWI) ETFと同じであり、2回の下落から持ち直しては来ているものの、2025年1月頃の最高値までは戻っていない状況です。

4.為替変動が見せる “差” の正体
この乖離の主因は、為替相場の動きです。
例を挙げると、2025年1月に 1米ドル=約157円だったものが、6月には約145円へとドル安・円高に動きました。これにより、ドルベースで上昇している指数と、円換算された基準価額との間に差が生じています。
つまり、インデックス自体が上昇傾向にあっても、為替変動によって円ベースでの利益実感が揺らぐわけです。
結果的には、1月の157円/ドル→6月の145円/ドルのドル安円高の為替相場の影響が2本の差である。引き続き、MSCI ACWIやS&P500のインデックスは伸長傾向にあり、淡々と積み立てを続けていて問題はなさそうである。
5.投資戦略上の示唆
この事実から、投資家としては以下のような視点を持つことが有益でしょう:
- 為替リスクを念頭におく
- ドルベースでの上昇基調こそ、インデックス本来の力を示している可能性が高い
特に、ほったらかし投資スタイルを取るならば、短期の為替変動による振れを気にしすぎないこともまた重要です。
6.まとめ
MSCI ACWI はドルベースで最高値を更新中であり、インデックス自体の成長性を示唆しています。
オルカン(円ベース)とドルベース指数の差は、主に 為替変動 に由来します。
こうした背景を理解したうえで、円ベース・ドルベース両方の視点をもちながら、淡々と積み立てを継続する姿勢が改めて重要と言えるでしょう。

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