はじめに
2022年3月、投資に関する知識がまったくない状態から、ロボアドバイザー2社を利用して資産運用を始めました。
それから1年後、『【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術(朝日新書)』の書籍を参考に、メインの運用先を「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(愛称:オルカン)に変更。現在までで資産運用歴は3年6か月となります。
この間にさまざまな経験を積み、情報を得る中で、「あの時こうしておけば…」と思う場面も多くありました。本記事では、当時に戻れたならばどのような判断をしたか、資産運用における私の改善点を整理してみます。
1 オルカン一本で十分だった
ロボアドバイザーは株式・債券・コモディティ等を自動で分散してくれるのが特徴です。
しかし、たとえば2024年8月の日銀ショック、2025年4月のトランプショックなど市場の大きな変動時には、分散投資の効果はあまり感じられませんでした。評価益は大きく減少し、むしろロボアドの柔軟性のなさが目立ちました。
当初は、“ロボット”という語のイメージで、相場の暴落を察知してリスクを巧みに回避するのかと思いましたが、実際はポートフォリオの設定と定期的なリバランスをするだけの機能でした。
信託報酬は年1.1%で、入金額や運用期間によって、多少の優遇があります。
今振り返ると、信託報酬が年0.05775%と極めて低コストで、構成銘柄を自動的に入れ替えてくれる「オルカン」一本にしておけばよかったと強く思います。
2 分配金やリバランスが効率を下げる
分配金や配当金が出ることについて投資当初は喜びを感じていましたが、実際には約20%の税金が差し引かれます。分配金や配当金を経由する再投資では資産運用の効率が下がってしまいます。
また、ロボアドで頻繁に行われるリバランス(売買)も譲渡益に課税され、同様に約20%の税金が差し引かれ、運用効率を低下させます。さらに、源泉徴収された税金を還付申告することで、結果として国民健康保険料が上がってしまうという思わぬ落とし穴もありました。
配当金や分配金を出さず、自動で再投資されるファンド(例:オルカン)の方が、税制面でも効率面でも有利です。
3 ロボアドバイザーの違いと限界
ロボアドバイザーには2社使いましたが、使い勝手にも違いがありました。
- ウェルスナビは「配分変更」型のリバランスなので比較的マイルド。
- 一方、Theo(テオ)は「スイッチング」によるリバランスが頻繁で、毎月のように売買を繰り返すため課税額が積み重なります。
このように、リバランスの方法次第で効率に大きな差が出ます。改めて言えるのは、自分で納得できる方法で投資判断ができるようになることが一番大事だということです。
4 証券口座はネット証券で開設すべきだった
せっかく投資をするなら、ポイントが貯まるネット証券を選ぶべきでした。たとえば、クレジットカード決済が可能な証券会社を使えば、投資額の1%がポイントで還元されることもあります。
NISAの年額360万円(成長投資枠240万円、積み立て投資枠120万円)を全額活用し、還元率1%なら36,000円分のポイントを受け取れる計算です。
一方で、私が開設したSMBC日興証券にはこうしたインセンティブがまったくなく、今振り返ると積極的に選ぶ理由がなかったと感じます。
セキュリティ面の不安もありますが、怪しいメールを開かないなどの基本的な対策をすれば十分防げます。楽天証券やSBI証券などのネット証券を選ぶのが賢明です。
5 運用資金はできるだけ早く投資すべきだった
投資の基本は「長期・分散・低コスト」ですが、実際に右肩上がりの相場が続くと仮定すれば、運用開始が1日でも早い方が有利です。
手持ち資金を現金で持っておくのは資産運用の機会を損失しています。また、インフレによって現金の価値が失われてしまうことも損失です。ただし、一括で運用した後に相場が下落するようなこともあり得ますので、その場合に心理的に耐えられない(狼狽売りしたり、生活に支障を来すなど)ならば、数回に分ける「時間分散」でも構いませんが、それによる機会損失は認識しておくべきです。
給与から定期的に積み立てる「ドルコスト平均法」は有効ですが、まとまった手持ち資金があるならば一括投資が理論的には最適だと今は理解しています。
6 まとめ
- 証券口座はネット証券(SBI証券や楽天証券など)で開設する
- 使う予定のない資金で信託報酬率が低いオルカンを購入し、ホールドする
- 一括投資が怖い場合は、1年程度の期間で数回に分けて投資する(機会損失は許容する)
結論としては非常にシンプルです。今の私が当時に戻れるなら、迷わずこのように行動するでしょう。

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