2024年8月6日の「日本銀行(日銀)ショック」をきっかけに、基準価額が急落した「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称:オルカン)」ですが、その後徐々に持ち直し、2024年8月23日時点で基準価額が24,643円を記録しました。
背景:日銀ショックと基準価額の下落
日銀の金融政策発表が市場に波及し、円高・株安のダブルショックとなりました。オルカンの基準価額は一時22,688円まで下落。
この背景には、世界株式のベンチマークであるMSCI ACWIに連動するインデックスファンドおよびETFが影響を受けたことがあります。
ドルベースで見ると「7月上旬の水準」まで回復
オルカンは日本円ベースでの想定に加え、ドルベースでの動きも確認する価値があります。
- 例えば、米国上場のETF「iShares MSCI ACWI ETF」はドルベースで7月上旬の水準まで回復。

- 一方、同じベンチマークを採用し日本で提供される「MAXIS World Equity (MSCI ACWI) ETF」は、オルカンと同様に“半値戻し”のレンジ。

このことから、ドル高/円安の影響が大きく作用していることが読み取れます。
円高・円安の影響を簡易計算で整理
経験的には、1円のドル高(円安)が進むと基準価額が約+150円、逆に1円のドル安(円高)で約‑150円の影響があるという簡易的なモデルを使っています。
例えば「1ドル160円 → 145円」の円高が進んだ場合、15円の円高はおおよそ2,250円分の基準価額の下落に相当すると算定できます。
この観点から、現在の基準価額水準は、8月6日の下落分をある程度回復したうえで「円高の影響を控えめに見積もった」結果とも考えられます。
今後の留意点と展望
- ドル円の為替動向が引き続き基準価額に密接に影響します。円高が進めば、いくら世界株式が上げても円換算後の基準価額は上がりづらくなります。
- 世界株式市場の景気・金利・地政学リスクなども変動要因として重要。特にMSCI ACWIなどグローバル指数の動向に目を向けましょう。
- 長期投資として「ほったらかし投資術」の観点からは、急落時も慌てず、定期的な積立や適切な資産配分を維持することが鍵です。
まとめ
- オルカンは日銀ショックから立ち直りつつあり、ドルベースでは7月上旬の水準まで回復しています。
- ただし、円換算では円高の影響でまだ完全な回復とは言えない状況です。
- 為替リスクも含めて「世界株式+為替」の観点から長期目線で見ることが重要です。

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