はじめに
2025年9月末をもって、PayPayアセットマネジメントが事業を終了することが、2024年10月11日に発表されました。これに伴い、同社が運用していた投資信託は「運用会社の変更」または「繰上償還(ファンドの解散)」のいずれかとなります。
特に注意すべきは「繰上償還」です。これはファンドが予定よりも早く終了することで、投資元本とその時点での損益が自動的に確定・精算され、現金として払い戻されます。
長期的に積み立てていた場合でも、ここで一度リセットされてしまうため、「資産運用のやり直し」が必要になります。
「長期・分散・低コスト」が基本方針の投資家にとってのリスク
「ほったらかし投資術」でも紹介されているように、長期投資においては「複利の効果」を最大化するためにも、投資期間の継続性が非常に重要です。
そのため、途中で繰上償還されてしまうことは、投資戦略全体に大きな支障をきたします。
純資産総額100億円が一つの目安
「ほったらかし投資術【第3版】」では、繰上償還のリスクを避けるための目安として、ファンドの純資産総額が100億円以上であることが重要とされています。
純資産総額はファンドの規模を示す指標で、規模が小さいほど運用効率が悪化し、最終的に繰上償還に至るリスクが高まります。
繰上償還が与える2つの影響
- 損益が自動的に確定されてしまう
- 代替ファンドを探す手間と時間が発生する
繰上償還は一見“無難な清算”のように見えますが、長期運用を前提とする個人投資家にとっては、望ましくない出来事です。
小規模ファンドの淘汰はインデックス競争の結果?
今回のPayPayアセットマネジメントの事業終了は、低コストインデックスファンドが続々と登場し、手数料競争が過熱したことによる「薄利多売の限界」かもしれません。規模が小さいファンドは、こうした競争に耐えられず、淘汰されていく可能性が高いといえます。
「オルカン」のような純資産4兆円超のファンドなら安心
たとえば、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」、通称「オルカン」は純資産総額が4.4兆円を超えており、繰上償還の心配はほぼありません。
純資産の大きいファンドは運用が安定しており、長期保有にも安心感があります。
新しいファンドに飛びつく前に考えるべきこと
新規の投資信託商品は魅力的に見えることもありますが、投資家が十分に集まらなければ、繰上償還のリスクを抱えることになります。
今後ファンドを選ぶ際は、
- 純資産総額
- 信託報酬(手数料)
- 運用実績と継続性
といった複数の視点から慎重に検討する必要があります。
まとめ:ほったらかし投資家にとって「繰上償還リスク」は見逃せない
【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術(朝日新書)にしたがって、「長期・分散・低コスト」の投資方針を守るには、繰上償還されにくいファンドを選ぶことが大切です。
純資産総額が十分で、運用が安定しているインデックスファンドを選ぶことで、資産運用を中断されるリスクを最小限に抑えましょう。

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