はじめに
「資産をどう保全し、どう成長させるか」。このテーマの背景には、インフレや物価上昇という現実があります。本記事では、かつて金庫に眠っていた“お宝”を題材にしながら、「貨幣価値とは何か」「現金はなぜ目減りするか」「資産を長期で守るにはどうすればいいか」を考えてみます。
1.私が資産運用を始めた理由 — 物価上昇による現金の価値低下を抑えたいから
仕事を辞めたタイミングで、これまで預けていた社内預金(年利 1.56%)がすべて手元に戻りました。
しかし、そのまま現金で保有しておくと、インフレや物価上昇で価値がじわじわと目減りしてしまいます。
そこで、できるだけリスクを抑えながら資産を守りつつ増やすよう、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」(通称オルカン)を基本の投資対象とし、長期保有するスタンスを取ることにしました。
2.物価上昇が現金の価値を蝕むという現実
物価が上がれば、今の10,000円で買えるものが来年は買えなくなる可能性があります。
この現象は頭では理解できても、日々の生活ではあまり実感がわかないものです。
たとえば、「自販機の飲み物が昔は 60円だった」「電車の初乗り運賃が 50円だった」という思い出話は、昔と今を比較して物価上昇を感じさせます。
こうした「体感できる変化」は、小さな値上がりが積み重なってきた証でもあります。
物価上昇によって手持ちの現金の価値が目減りすることは、今10,000円で買える商品が来年に10,000円では買えなくなることと頭では理解できますが、物価上昇が緩やかなため、あまり実感はありません。
3.昔のお宝は、今なお価値があるか?
テレビ番組で見る「開かずの金庫」はさらに示唆に富んでいるように思います。
金庫にしまわれたお宝(紙幣、株券、記念品など)は、当時は大切にされていたことでしょう。
しかし、年月が経つと、それらがそのまま「お宝=価値あるもの」ではなくなることがあります。
紙幣は額面通りの価値を失うこともありますし、株券が紙媒体のままなら、会社の倒産や再編で価値を失っている場合もあるからです。
一方で、金や貴金属(大判・小判など)は、インフレの影響を受けにくい性質を持つため、価値をある程度保ちやすい側面があります。ただし、古い金貨・小判などは純度や品質に差異がある可能性もあり、すべてが“完璧なお宝”とは言えません。
そのため、「金庫に何が入っていて欲しいか」という問いに対して、「お金」ではなく「貴金属」のような実物資産がしばしば挙げられるのは、それが長期保全性を意識した発想だからだと感じます。
4.長期間にわたって資産を保全する心得
「お宝」が長い時間を経ても価値を保ち続けるには、以下の視点が重要だと考えます:
- コスト管理:手数料や信託報酬を抑える
- 長期視点:一時的な価格変動に過度に反応しない
- インフレ対応:物価上昇に資産が追従できるようにする
このような観点から、私は「インフレによる貨幣価値の目減り」は忘れてはならない現実であると強く感じています。
金庫の中身から学ぶことは多く、過去の“お宝”が私たちに問いかけるものを、資産運用上の示唆として受け止めたいと思います。

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