2024年7月、ドル安・円高・株価下落の大波により、私が運用している資産にも大きな影響が出ました。
今回は、ロボアドバイザー2社(WealthNavi/THEO)と、低コストインデックスファンドの代表としてeMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称「オルカン」)を比較し、含み損の変化から「分散投資」の実効性を検証します。
結論を先に言えば、「債券・金などにも分散しているロボアド2社が、株式100%のオルカンよりもやや下げ幅を抑えた」という結果となりました。詳細な数値と考察を以下にご紹介します。
セクション1:運用商品の概要と分散の違い
1-1 運用商品紹介
WealthNavi(ロボアド)
- 投資対象:ETF(外国株式、国内株式、外国債券、金、不動産)
- 資産配分:株式39%、債券50%、金・不動産11%(リスクレベル2設定)
THEO(ロボアド)
- 投資対象:ETF(外国株式、国内株式、外国債券、金・銀・不動産・その他)
- 資産配分:株式39%、債券44%、金・銀・不動産・その他17%(年齢・就業状況で自動設定)
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)(通称:オルカン)(インデックスファンド)
- 投資対象:外国株式+国内株式(株式100%)
- ベンチマーク:MSCI ACWI(約3,000銘柄)
1-2 分散投資の観点からの比較
「分散」の観点から言えば次の3つがポイントです:
- 時間分散(積立投資)
- 投資先の分散(地域・企業)
- 投資商品の分散(株式以外:債券・金・不動産)
ロボアド2社は「株式+債券+金・不動産」に分散しており、オルカンは「世界の株式に分散」しているものの資産クラスは株式100%です。
この違いが「含み損」の縮まり具合にどう影響を与えたのか、次章で数値で確認します。
セクション2:2024年7月の含み損データ比較
表1:7月10~8月1日の評価額変化
| 運用商品 | 最大評価額(7月10/11日) | 8月1日評価額 | 含み損益(%) |
|---|---|---|---|
| WealthNavi | 4,307,324 円 | 2,916,862 円 | -32.3% |
| THEO | 5,361,882 円 | 3,541,077 円 | -34.0% |
| オルカン | 11,900,291 円 | 7,670,667 円 | -35.5% |
ロボアド2社の下げ幅は -32.3%/-34.0% に対し、オルカンは -35.5%。確かにロボアドのほうがやや下げ幅を抑えられた結果となっています。
2-1 考察
- まず「株式100%」のオルカンが最も下げ幅が大きかった点は、株式相場の下落をまともに受けたと考えられます。
- 一方でロボアド2社は株式39%・債券50%・金・不動産11%あるいはそれ以上という構成であり、資産クラスの分散が一定の“緩衝”役割を果たした可能性があります。
- ただし注意点として、運用期間がロボアド2社は26か月、オルカンは16か月という違いがあるため、厳密に同じ“土俵”で比較できるわけではありません。
- また、信託報酬率(運用コスト)の観点では、オルカンの方がはるかに低く(0.05775%)、ロボアドでは1%前後となっているにも関わらず、下げ幅が僅かに小さかったという点には“逆説的”な興味があります。
- よって本件から言えるのは、「低コストで株式100%に投資するオルカン」が万能というわけではなく、“資産クラスを多様化している運用”が下落局面では多少の優位性を持った可能性がある、ということです。
セクション3:私の見解と今後の投資方針
今回の結果を踏まえて、私が得た教訓・投資方針は以下の通りです。
- 長期・分散・低コストが“ほったらかし投資術”の基本ですが、下落局面では「資産クラスの分散(株式以外)も侮れない」ということを改めて感じました。
- とはいえ、今回の差は数ポイント(-35.5% vs -32.3%)であり、明確な勝敗を決するほどではありません。運用期間や市場環境が異なる点も考慮すべきです。
- 私としては、今後もコストの低さを重視しつつ、「メインにオルカン」「サブで債券・金・不動産などを組み入れた分散型運用」の併用という姿勢を検討しています。
- また、下落時に慌てて売らず、積立を継続し、時間分散を効かせるという“ほったらかし”の本質を忘れずにいたいです。
まとめ
今回の7月の含み損比較から言えることは、「株式100%+極低コスト=最強」という構図ではなく、むしろ「株式以外も含めた分散+適切なコストが悪くない」という選択肢も十分に検討可能である、ということです。
もちろん、最終的な勝敗は“いつ/どのくらい/どの程度買い増したか”という運用の「時間」や「意思」に大きく左右されます。
今回の数値をひとつの参考値として、皆さんの資産運用方針の検討材料にしていただければ幸いです。

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