一括投資 vs 積立投資 — 2025年オルカンでの比較検証

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はじめに

資産運用に余裕資金があるとき、「一括」で投じるのと、「毎月・毎日コツコツ」と積み立てるのと、どちらがより成果を出すか──。理論上は一括投資が期待リターン面で有利とされることが多いですが、実際には「心理的な負荷」や「機会損失リスク」も無視できません。

本記事では、2025年におけるオルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)を題材に、3つの投資パターンを比較しながら一括と積立のメリット・デメリットを探ってみます。

1.一括投資と積立投資の基本的な違い

手元にまとまった資金があると、「早めに投資してリターンを取りに行きたい」と考えるのが自然です。この「一括投資」は、理論上は“未運用の機会損失”を抑えられる利点があります。一方で、直後に相場が暴落した場合に含み損を抱える可能性もあり、心理的なストレスを引き起こすことがあります。

それに対して「積立投資」は、時間を分散して投資するため、暴落時に大きな含み損を抱えにくく、投資を継続しやすいという心理的な利点があります。ただし、機会損失という観点では、相場上昇局面で“待ち”の時間がもったいないと感じられることもあります。

資産運用を長く続けるうえで、「リターン」「リスク」「心理的安定性」のバランスが鍵になるでしょう。

2.オルカンでの3つの投資手法を設定

本例では、2025年のNISA枠(最大360万円)を前提に、以下の3つのパターンを比較します。

2.1 年始一括で360万円投入

年始(12月27日扱い)に一度に360万円(成長投資枠240万円+積立投資枠120万円)を全額投資。

2.2 毎月30万円ずつ積立

同じく12月27日に10万円を第一回目投入し、以後は毎月1日に10万円ずつ投資(年末までで合計360万円)。

2.3 毎日14,693円ずつ積立

12月27日に14,693円を最初に投入し、以降は毎日14,693円ずつ継続(年末までで合計360万円)。

3.各手法の運用成績比較

以下のグラフは年始からの基準価額推移をもとに、紫:一括/緑:毎月積立/赤:毎日積立で描いた運用比較です。

3.1 一括投資

  • 4月の下落局面で約70万円の含み損を一時的に抱える。
  • 7月以降、相場回復局面で含み益へと転換。
  • 特に上昇局面では成果を最大化しやすい傾向。

3.2 積立投資(毎月/毎日)

  • 下落局面では損失抑制効果を発揮。
  • ただし、上昇局面では平均取得価額が引き上げられるため、含み益の伸びはゆるやかになりやすい。

4.どちらが優勢か?ケース別判断

ケース A:相場が極端に上下動した年

大きな下落と、その後の急反発が混在する相場では、積立投資の安全性が光ることがあります。しかし、その反発が大きければ一括投資のほうが恩恵を受けやすいでしょう。

ケース B:安定上昇相場

上昇トレンドが続く年なら、一括投資のほうがリターンを最大化しやすいでしょう。

ケース C:あなた自身の性格・投資スタンス

含み損に耐えられるか、投資を続けられるか。心理的な側面も重視するなら、積立が向いている場合もあります。

2025年のケース考察

2025年のオルカン相場では、10月6日の急騰でようやく一括投資の含み益が積立を逆転する局面となりました。ただし年末までの動き次第で再逆転の余地もあります。31,000円が攻防ラインになりそうです。

5.まとめと私見

  • 一括投資は理論上リターンの最大化が狙えるが、暴落時の心理的負荷を伴う。
  • 積立投資は穏やかな運用を志向するなら安心感があるが、上昇相場での伸びは抑制されやすい。
  • 2025年のオルカン相場では、序盤の下落と後半の反発というアップダウンを含みつつ、一括投資が後半の急上昇によって優位となる局面が確認された。

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