「eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)」をいつ買うべきか――。
この“買い場の見極め”は、長期投資を続けるうえで多くの投資家が悩むポイントです。
1.検証の目的
VIX指数は、投資家心理を表す「恐怖指数」として知られています。
一般的に VIXが高い=相場に不安、VIXが低い=安定・楽観 と言われ、株式市場の反転ポイントを探る手掛かりになることがあります。
今回はVIX指数の「MACD」のデッドクロス/ゴールデンクロスのタイミングと、eMAXIS Slim 全世界株式(オルカン)の基準価額の動きを比較しました。
2.検証結果①:2023年11月〜12月
- 期間:2023年11月初旬〜年末
- オルカン基準価額:約8%上昇
- VIX指数のMACD:11月初旬にデッドクロス(上昇傾向の前兆)
このタイミングでは、VIXの警戒感がやわらぎ、株式市場がリスクオンに転じた形跡が見られました。
結果、オルカンの上昇と一致し、一定の関連性あり と判断できます。
3.検証結果②:2024年1月〜3月
- 期間:2024年1月初旬〜3月下旬
- オルカン基準価額:約16%上昇
- VIX指数のMACD:明確なデッドクロス/ゴールデンクロスなし
この期間は、VIXが低水準で推移しており、投資家心理は一貫して楽観的。
MACDのシグナルは乏しく、VIXのMACDでは買い場判断が難しい局面 でした。
4.検証結果③:2024年4月〜5月
- VIX指数のMACD:4月22日にデッドクロス(上昇の前兆)
- 5月29日にゴールデンクロス(下降の前兆)
- オルカン基準価額:約8%上昇
この期間でもVIX指数が反転(=警戒感が高まる→解消される)した後に、オルカンが上昇。
再び正の相関が確認 されました。
5.考察:「VIX指数のMACD」が効く条件
過去データから見えてきたのは、以下の傾向です。
- VIX指数のMACDが1.0以上(=VIX値20以上)でデッドクロスが発生すると、オルカンが上昇しやすい。
- 投資家の恐怖感がピークを越え、「リスクオン」に転じる局面に限定して効果が見られる。
逆に、VIXが低水準のときに出るMACDシグナルは、相場の方向性に影響を与えにくい ようです。
6.まとめと今後の方針
VIX指数のMACDは、オルカンの買い場を測る「補助的なシグナル」として有効かもしれません。
- 恐怖指数が高まっている(VIX20超)
- MACDがデッドクロスから反転したタイミング
この2点が重なったとき、オルカンの上昇局面が始まる可能性があります。
今後もこの傾向が続くかをウォッチし、知見を積み上げていく予定です。
補足:チャートの読み方メモ

上のチャートではデッドクロスが3回確認されますが、黄色で示した「VIX指数のMACDが1.0以上(VIX20以上)」のケースにおいて、オルカンの基準価額との関連性が最も強く見られました。

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