2022年4月、資産運用の知識がほとんどなかった私は、手軽さに惹かれてロボアドバイザー2社での運用をスタートしました。
その後、2023年3月に書籍【全面改訂 第3版】ほったらかし投資術(朝日新書)と出会ったことをきっかけに、「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー、以下オルカン)」の併用を開始。投資の勉強と情報収集を重ねる中で、自分にとって最適な投資スタイルは「長期・分散・低コスト」そして「バイ&ホールド(長期保有)」であると確信するようになりました。
運用開始から4年が経過した今、コストや税金面を精査した結果、ロボアドバイザー「THEO(テオ)」からの資金引き上げを実行し、オルカンを中心とした運用へ切り替える決断をしました。
今回は、私がTHEO(テオ)からオルカンへ資金を移動(リロケーション)させる3つの明確な理由を解説します。
理由1:毎月の「スイッチング型リバランス」による税金・社会保険料の圧迫
THEO(テオ)はポートフォリオの最適な比率を保つため、毎月自動でリバランスを行ってくれます。しかし、このリバランスは「値上がりした一部の資産を売却し、別の資産を買い直す(スイッチング)」という仕組みです。
利益が出ている状態で売却が行われると、その都度20.315%の譲渡所得税が確定してしまいます。
- 再投資の効率低下: 本来であれば売却せずに運用を続け、将来的な複利効果を得られたはずの資金が、毎月の売却によって税金として引かれてしまいます。
- 確定申告・社会保険料への影響: 現在は「特定口座(源泉徴収あり)」を選択していれば基本的には影響しません。しかし、過去の損益通算や所得税の還付申告のために確定申告を行う場合、利益が表面化することで国民健康保険料や介護保険料などの社会保険料負担が増加するリスクが生じます。
さらに近年では、特定口座(源泉徴収あり)であっても譲渡所得や配当所得を社会保険料の算定対象とする税制改定の議論が進められています。将来的にこの改定が実現した場合、毎月売却益が発生する仕組み自体が大きなリスクになりかねません。 - 長期投資において、高頻度な売却(課税イベント)が発生することは、手残りパフォーマンスを下げる大きな要因になります。
理由2:オルカンと比較して「10倍以上」高い信託報酬コスト
運用コスト(手数料)の決定的な差も大きな理由です。
- THEO(テオ)の運用手数料: 年率 1.1%(税込)程度
- オルカン(eMAXIS Slim 全世界株式)の信託報酬: 年率 0.05775%(税込)程度
THEO(テオ)の手数料は、オルカンと比較して10倍以上高価です。
仮に100万円を運用する場合、オルカンなら年間の手数料は約577円ですが、THEOでは約11,000円かかります。運用益が確実に毎年出続ける保証がない中で、この固定コストの差は長期になればなるほど致命的な差となって跳ね返ってきます。
理由3:「ほったらかし」ならオルカン+現金で十分という結論
THEO(テオ)が提供してくれる「全自動リスク分散」や「自動リバランス」は、投資初心者にとって非常に有益で魅力的なサービスです。
しかし、現在では「オルカン」という優良な低コストインデックスファンドが1本あるだけで、世界中の企業に低コストで分散投資ができてしまいます。
資産クラスの違いと「トービンの分離定理」
確かに、ロボアドバイザーは株式・債券・コモディティなどに多角化分散されているのに対し、オルカンの資産クラスは「株式のみ」という違いがあります。
しかし、経済学の「トービンの分離定理」の考え方に従えば、リスク資産の中身を複雑に組み合わせる必要はありません。「リスク資産(オルカン)」と「無リスク資産(現金)」の比率を自分のリスク許容度に合わせて調整するだけで、十分に自分に合ったリスクコントロールが可能です。
わざわざ高コストな自動運用に頼らなくても、「オルカン+現金の比率調整」でシンプルなリスク分散が完結すると結論付けました。
まとめ:自分の資産を守るための切り替え
- 毎月の自動売却による税金・将来的な社会保険料負担のリスク
- 長期の複利効果を削る10倍以上の手数料差
これらを天秤にかけた結果、THEOでの運用に区切りをつけ、低コストなオルカンへ資金を移行する選択をしました。
手軽さを取るか、コスト効率を取るかは人それぞれですが、「おまかせ運用」の裏側でどのようなコストや税金が発生しているのかを正しく把握しておくことは非常に大切です。
今後の取り崩し(出口戦略)についてもシンプルに、「手持ちの生活資金が少なくなったら、必要分だけオルカンを現金化する」という方針で行く予定です。
この記事が、ご自身の資産運用やコストを見直すきっかけになれば幸いです。

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