“ぼっち登山”は、ひとりで楽しむアウトドアです。
休日を、気ままに、静かに、自然と絶景でリフレッシュしたい。そんな人におすすめです。
登山やハイキングというと中高年の趣味という印象があります。
最近は山ガールも増えてはきましたが、確かに山で見かけるのは中高年のグループが多いです。
でも、見方を変えると、自分が中高年になったときでも続けられるということです。
ならば、今から登山を趣味にして、先に詳しくなるのも悪くないとは思いませんか。
インドア派からすれば、なぜ好んでわざわざ疲れに行くのだろうという疑問もあるでしょう。
著者もそう思っていたのですが・・・
ほかにも頂上での絶景、野生生物や野鳥、ランチやお茶のひととき、と楽しみ方は人それぞれです。
まずは、アニメ・ヤマノススメでも見て、少し山に興味を持ったら、思い切って出かけてみましょう。
ぼっちにはぼっちの、グループにはないメリットがあります。
体調がよく、気分が乗っているときに行けばいいのです。
あと、天気も重要です。雨が降りそうな日に無理に出かける必要はありません。
また、頂上からの絶景は晴れていないと楽しめません。
グループだと、行き先が自分が希望する山になるとは限りません。
普通は、いちばんの初級者に合わせることになるでしょう。
はじめは自分も初級者なので、それもいいのですが、だんだんと物足りなくなってきます。
逆に、レベルが高い人に合わせると、登山中に迷惑をかけることになるか心配にもなります。
前回は○○山に行ったけどまだ体力に余裕があったので、今度は○○山にしようかな。
行き先はこういう風に選びたくなるものです。
最適なペースは、人によって違います。また、自分の体調によっても変わります。
このあたりで休憩しようか。ペースを下げようか。今日はもうあきらめて下山するか。
誰にも遠慮せず、自分の意思で決めることができます。
無理なことをしないことは、安全な山登りの鉄則です。
いろいろと買い込む前に、まずは手頃なところにハイキングに行ってみましょう。
高尾山・陣馬山あたりならば、今持っているスポーツウエアとジョギングシューズで十分です。
でも、注意しないといけないのは、自分の脚だけで安全に登って下りてくること。
体調を管理して、けがをしないようにしないといけません。
特にウエアと靴は重要なアイテムです。
最低限、必要なものは・・・
汗冷えすると体力を奪われます。汗が乾きにくい綿シャツは避けましょう。
日が陰ると急に寒くなるので、軽い薄手のフリースを1枚を持って行きましょう。
風が吹くと寒く感じます。できれば防水機能があると雨を凌げます。
履きなれたスニーカーよりはジョギングシューズの方がいいです。
日帰りであれば小さなザック(容量15Lくらい)で十分です。
ウエアもいいものを揃えましょう。
ウエアはレイヤーリング(重ね着)が基本です。
暑くなったら脱ぎ、寒くなったら着る。まめに脱ぎ着して必要以上に汗をかかないようにします。
素肌→ベースレイヤー→インナー→ミドルレイヤー→アウターの順に着込みます。
脱ぐと荷物になるので、軽いものが適しています。
コンプレッションのインナーは汗を吸い、水分の蒸発を促すので、汗冷えを防止してくれます。
レインウエアは、ゴアテックス素材のものが、汗蒸れを軽減してくれます。
靴は捻挫を防止するため、ミドルカットかハイカットにします。
靴の素材はゴアテックスであれば、多少の雨や水たまりならば濡れずに済みます。
靴で重要なのはソールです。登山道にはガレ場(岩がゴロゴロした場所)もあります。
ビブラムソールの固い靴を選んでおけば、ガレ場や岩登りでも対応できます。
お店で靴を底を返して、つま先とかかとを持ち、力を入れてみて、簡単にソールが曲がらない硬めの靴を選びましょう。
たとえば、SirioのPF302はビブラムソールで、簡単にはソールが曲がらない靴です。
ちなみに著者の靴は、ダナーのデイハイカー3(廃盤)です。ビブラムソール&ゴアテックスです。
この靴で、立山や仙丈ケ岳のガレ場も、問題なく登ることができました。
では、愛用品のリストと値段をお知らせします。
アイテム | メーカー | 価格 |
---|---|---|
ダナー、デイハイカー3 | 10,000円 売り切り特価 | |
ドンキホーテ、コンプレッションインナー | 800円 | |
Kaepa、長袖速乾性シャツ | 1000円 | |
ユニクロ、マイクロフリース | 1500円 | |
ユニクロ、速乾性ストレッチパンツ | 1500円 | |
アシックス、スポーツ用 | 800円 普段使いの靴下の上に重ね履きしています。 | |
モンベル、ストームクルーザー上下 | 23000円 売り切り特価 | |
無メーカー、28リットル | 1000円 | |
自転車カゴ用 | 100円 | |
Milo(2本) | 1800円 |
靴とレインウエアは重要なアイテムなので、少々奮発しましたが、その他は安いものばかりです。
山のアイテムは使い捨てではないので、一度、揃えればそれなりの期間使えます。
さらに本格的になると、テントやシュラフ、コンロやコッヘルも欲しくなりますが、それはまだ先の話です。
著者が行き先を選ぶとき、今の自分の脚力を考えます。
これまでに経験した標高差と歩行時間、自分の疲労度などです。
例えば、高尾山であれば標高差400メートルを1時間20分で歩き、頂上ではかなり余裕があった。
では、標高差500メートルならば歩行時間は2時間弱だから、おそらく大丈夫だろう。
そんな感じで行き先を探します。はじめは、標高差300メートル:歩行時間1時間とするとよいと思います。
標高差と歩行時間から候補となる山のリストです。
標高差 | 歩行時間 | 行き先 |
---|---|---|
200メートル | 40分から60分 | 札幌・円山(円山公園から) |
400メートル | 60分から80分 | 高尾山(高尾山口駅から6号路、稲荷山コース) |
450メートル | 80分から110分 | 景信山(小仏バス停から) |
500メートル | 90分から120分 | 大山(ヤビツ峠から)、札幌・藻岩山(慈啓会病院から)、立山・龍王岳(室堂ターミナルから) |
600メートル | 100分から140分 | 生藤山(石楯尾神社から)、立山・雄山(室堂ターミナルから)、小樽・塩谷丸山(JR塩谷駅から) |
800メートル | 120分から150分 | 箱根・金時山(地蔵堂から)、唐松岳(八方池山荘から) |
1000メートル | 140分から180分 | 仙丈ケ岳(北沢峠から)、奥多摩・大岳山(奥多摩駅から鋸尾根コース) |
1100メートル | 160分から200分 | 三つ峠山(三つ峠駅から達磨石コース) |
1200メートル | 180分から220分 | 塔ノ岳(大倉尾根コース) |
1300メートル | 240分から280分 | 蛭ヶ岳(青根・姫次コース) |
最適なペースとは、少なくとも2時間くらいは休まずに登り続けることができるペースです。
汗だくになったり、頂上に到着したけども疲労困憊というのは、無理なペースです。
登る速さと歩行継続時間による体力レベルを示します。(独自見解の表です。)
登る速さ | 歩行1時間 | 歩行2時間 | 歩行3時間 | 歩行4時間 |
---|---|---|---|---|
標高200メートル/1時間 | 200メートル | 400メートル | 600メートル | 800メートル |
標高250メートル/1時間 | 250メートル | 500メートル | 750メートル | 1000メートル |
標高300メートル/1時間 | 300メートル | 600メートル | 900メートル | 1200メートル |
標高350メートル/1時間 | 350メートル | 700メートル | 1050メートル | 1400メートル |
標高400メートル/1時間 | 400メートル | 800メートル | 1200メートル | 1600メートル |
標高450メートル/1時間 | 450メートル | 900メートル | 1350メートル | 1800メートル |
標高500メートル/1時間 | 500メートル | 1000メートル | 1500メートル | 2000メートル |
標高550メートル/1時間 | 550メートル | 1100メートル | 1650メートル | 2200メートル |
標高600メートル/1時間 | 600メートル | 1200メートル | 1800メートル | 2400メートル |
早出が早帰りが基本です。
当たり前ですが、登山道には外灯はありません。
歩くのは日が高いうち、歩き終えるのも明るいうちです。
道に迷っても、思わぬけがをしても、リカバリーできるような余裕を持ったスケジュールを組みましょう。
日常生活では正午は一日の半分ですが、山では正午は1日の後半と思ってください。
よく登山中の水場で水を飲む人がいますが、天然の水は消毒されていないことを忘れてはいけません。
水場の水に野生生物の糞尿が混入し、細菌やウイルスに汚染されている可能性は否定できません。
自分が飲む水は持参しましょう。水場の水は非常時と考えましょう。
飲み水の量は、以下の計算が目安になります。
また、水はガブガブと飲まないで、口を湿らすくらいの量をこまめに摂取するのがよいとされています。
脱水症状にならないためにも、少量ずつ飲むようにしましょう。
足が攣ったりしやすい場合は、スポーツドリンクでミネラルの補給をしましょう。
飲み水の量(mL)=体重(kg)×5(mL/kg・hr)×歩行時間(hr)
体重 | 1時間 | 2時間 | 3時間 | 4時間 |
---|---|---|---|---|
40kg | 200mL | 400mL | 600mL | 800mL |
50kg | 250mL | 500mL | 750mL | 1000mL |
60kg | 300mL | 600mL | 900mL | 1200mL |
70kg | 350mL | 700mL | 1050mL | 1400mL |
80kg | 400mL | 800mL | 1200mL | 1600mL |
90kg | 450mL | 900mL | 1350mL | 1800mL |
行動食とは、歩きながら、または小休憩時に食べる栄養食を言います。
有名どころでは、ウィダーインゼリーやカロリーメイトブロックがあります。
似たような製品で半額以下のものもありますので、イオンやヨーカドーで探してみてください。
行動食を摂るタイミングですが、お腹が空いたと感じる前に食べる必要があります。
マラソン、自転車、登山のように長時間の運動を続ける場合、最も気を付けなければならないのはエネルギーの枯渇です。
耐久競技でいう“ハンガーノック”と言われる現象です。ハンガーノックになると急に身体が動かなくなります。
こうなると、少々休んでも回復はしません。
ハンガーノックにならないためには、こまめに栄養分と水分を補給する必要があります。
1時間歩いたら、5分休憩し、行動食を摂取する。このくらいがよいと思います。
地図は、登山・ハイキング用の地図も売っているのですが、駅の観光案内所で配布しているハイキングマップが役に立ちます。
陣馬・高尾ならば八王子駅や高尾駅で、表丹沢ならば秦野駅で、そのほか、奥多摩駅、武蔵五日市駅、飯能駅などバスのターミナル駅の観光案内所で入手できます。
スマホの地図は山用では期待できないのですが、GPSで現在位置を確認する際には役に立ちます。電波が届かない場合は地図機能が使えない場合もあるので注意が必要です。
あらかじめ、行く前に国土地理院の電子地図でルートを確認するようにしています。
地図を読み慣れていない人は、登山・ハイキング用の地図を購入しましょう。地図はジップロックに入れるなど雨対策も忘れないように。
平地を歩く場合と、登りを歩く場合の歩き方は異なります。
体力を温存する省エネの歩き方をマスターしましょう。
1歩の無駄は大したことはありませんが、1日に数万歩という場合もあるので、侮ってはいけません。
その人にとっての最適なペースとは、そのペースで休まずに2時間程度登り続けることができるペースです。
汗だくになったり、頂上に到着したけれども疲労困憊というのは、無理なペースです。
山は登って、山頂で力尽きるのではなく、下ってこなければなりません。
感覚的には、登頂の時点で自分の限界の6割以下である必要があると思います。
山では携帯電話の電波状況は悪く、圏外になることも少なくありません。
もともと山には住居がなく、市街地のように多くのアンテナはありません。
また、アンテナはもともと地上方向に指向性があります。
地上では受信しやすく、山の上では受信しにくいのが通例です。
特に谷道は尾根の陰になるため、電波が届きにくくなります。
実際、陣馬山周辺は登山者があれだけ多いのに、圏外になることもしばしばです。
さらに、携帯電話には電波状況が悪いと、電波を捉えようと感度を上げる機能があり、電池の消費が激しくなります。
いざというときに電池がないということを防止するためにも、不要なときは電源をオフにしましょう。
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立山連峰・浄土山、龍王岳 | 標高2433→2872メートル |
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札幌・円山、藻岩山 | 標高21→225メートル、標高29→531メートル |
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立山連峰・雄山、大汝山 | 標高2433→3015メートル |
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神奈川・大山 | 標高761→1252メートル |
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生藤山・陣馬山(和田峠)縦走 | 標高410→990→328メートル |
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箱根・金時山 | 標高417→1212メートル |
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小樽・銭函天狗山 | 標高50→534メートル |
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南アルプス・仙丈ケ岳 | 標高2037→3033メートル |
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丹沢・塔ノ岳 | 標高292→1491メートル |
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山梨県・三つ峠山 | 標高617→1875メートル |
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陣馬山・高尾山縦走 | 標高328→855→548→670→475→599メートル |
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南高尾山稜(小仏峠・城山湖)縦走 | 標高282→670→391→536→186メートル |
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ヤマノススメ聖地・天覧山 | 標高192メートル |
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北アルプス・唐松岳 | 標高1834→2696メートル |
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奥多摩・鋸山から大岳山縦走 | 標高339→1109→1033→1266メートル |
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神奈川県最高峰・蛭ヶ岳―青根から丹沢主脈縦走 | 標高390→1433→1323→1672→1526→1614→1455→1567
→1472→1504→1425→1461→1394→1491→292メートル |
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小樽・塩谷丸山−JR塩谷駅から山頂往復 | 標高55→628→55メートル |